プラセンタの注射は、医療機関で投与してもらいますが、最初に打つときは、誓約書を書かなければいけません。
その内容は、
今後一切献血ができなくなるというもの。
その理由を知るべく、厚生労働省や医療機関の注意書きを読んでも、小難しい説明でよくわかりません。
そこのところを、がんばって中学生でもわかる言葉で説明したいと思います。
プラセンタ注射を打つと献血できない理由
プラセンタ注射は1回でも投与した場合、現時点で将来にわたり献血をすることができません。
平成18年8月に厚生労働省は、プラセンタ製剤(注射薬)を使用した人からの献血を、無期限で見送ることになりました。
そのときの報道発表資料はこちらです。
これをみると、
平成18年8月23日に開催された薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会において、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤を使用した方の献血を制限する措置を日本赤十字社が実施することが了承された。
変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)は、献血の際に血液から検査する方法が未だ実用化していないため、例えば、欧州滞在歴のある方などvCJD伝播のリスクが否定できない方について、問診により献血制限を行う暫定的な措置を講じてきているところである。
暫定的な措置の内容
- 平成17年2月に国内でvCJD患者が確認され、英国滞在歴を有していたことを踏まえ、同年6月より、特定の期間に1日以上英国滞在歴のある方の献血を制限。
- 輸血及び臓器移植(ヒトの臓器に由来するもの)を受けた方からの献血を制限。
ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤を使用した方の取扱いについても、安全技術調査会において平成16年10月から審議されてきたところであり、今般、以下の措置を講じることとしたものである。
新たな措置の内容
同注射剤によるvCJD感染事例は報告されていないが、輸血や臓器移植と同様にヒト由来の臓器から製造されていることから、vCJDの伝播の理論的なリスクが否定できないため、念のための措置として、その使用者について問診により献血を制限することとする。
現時点では、プラセンタ注射によって、変異型クロイツフェルトヤコブ病(ヒト型の狂牛病)に感染するリスクが0%とは言えないという見解です。
献血ができないのは、もし感染した方が献血すると、その血液によって輸血を受ける多くの方へ感染を広める危険性があるとの日本赤十字社による配慮からです。
しかし一方で、
変異型クロイツフェルトヤコブ病(ヒト型の狂牛病)は、プリオンという特殊なタンパク質によって起こるとされるため、酸による加水分解でプラセンタ中のタンパク質をアミノ酸に分解し、そして最終滅菌(121℃ 30分間)するなど、感染に対する万全な安全対策が講じられています。
また、変異型クロイツフェルトヤコブ病(ヒト型の狂牛病)にかかる危険性は、日本で普通に生活していれば1億人に0.1〜0.9人です。
このことと、狂牛病が流行った時期に流行った地域への海外渡航歴がないことを確認し、肝炎やエイズなどのウイルス感染のないことが証明されている、国内の満期正常分娩した女性の胎盤を使用していることを踏まえると、まずほとんど0%に近いとは言えると考えられています。
変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)とは
変異型クロイツフェルトヤコブ病とは、狂牛病を持つ牛の特定危険部位(脊髄・脊柱・舌と頬を除く頭部・回腸遠位部)を食べることで侵されると言われているプリオン病の一種で、感染するとアルツハイマーに似たような症状を引き起こします。
そしてこの病気は指定難病されており、発症すると急速に進行し、3ヶ月~半年で寝たっきりになり、その後全身衰弱、呼吸麻痺、肺炎などで亡くなる方が多い病気です。
vCJDは病原体が異常プリオンというタンパク質です。HIV等のウィルス感染症とは異なり、感染している人からの採血時、スクリーニング検査で血液から迅速に検出するのは、現在の医学では困難と言っています。
感染の可能性は?
一般財団法人日本胎盤臨床医学会は、以下のように述べています。
日本で普通に生活していれば1億人に0.1〜0.9人であり、このことと、狂牛病が流行った時期に流行った地域への海外渡航歴がないことを確認し、肝炎やエイズなどのウイルス感染のないことが証明されている。
国内の満期正常分娩した女性の胎盤を使用していることを踏まえると、まずほとんど0%に近いとは言えると考えられています。
医療機関の見解
さまざまな医療機関(クリニック)でもプラセンタの安全性を力説しています。
この注射によって細菌やウイルスについては感染することはほぼ無いと言ってもいいでしょうし、実際のところ昭和49年発売以来、こうした感染症の報告は1例もありません。
一応、132℃1時間の高圧蒸気滅菌をすれば1/1000以下にまで不活化させられることが知られていますが、それでもゼロになる、とは言い切っていません。
だから先の文章「変異型クロイツフェルトヤコブ病の伝播リスクは・・・」という但し書きがついてくるのです。
ただ、そもそもこの病気にかかったことのある人は日本人ではこれまで2005年にただ1人しかおりません。
しかもこの人はどうやらイギリスに渡航歴があり、そこで感染しているようなのです。
ですから実際に日本でこのプリオン病がそこそこ流行るところまで行く可能性はゼロに等しい(感染率は約10億分の1という試算があります(厚生労働省))のですが、ゼロではないから「献血はダメ」になるというなのですね。
万一、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のプラセンタが混入していたとしても、製造工程で不活性化される為、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染は殆どゼロといいきってよいと考えられます。
実際にプラセンタにより何らかの疾病に感染したという報告例は50年あまりの間、 国内、海外ともにただの1例もありません。
副作用としては、原料となる胎盤はHIVやB型肝炎、C型肝炎などの感染症がないことが認識されていますが、未知のウイルスやクロイツフェルト・ヤコブ病の病原体プリオンのように加熱殺菌により病原性を失わない病原体の存在など完全否定はできません。しかし、昭和49年の製品発売以来、現在まで感染症の報告はありません。
そもそもプラセンタ注射のヒト由来プラセンタは、日本人の胎盤から抽出されたものです。発症事例は日本の全人口1億2千万人に0.1~0.9人の可能性なんですね。
対象は注射だけ
このヒト由来のプラセンタを使用できるのは、医療機関だけです。
そして日本でプラセンタの注射をする場合はヒト由来の「ラエンネック」と「メルスモン」の2つのみです。
したがって、医療機関以外でのサプリメントやドリンクなどにヒト由来のプラセンタを使用することはできません。
献血の制限を受けているのは、ヒト由来のプラセンタのみなので、そのほかの馬、豚、羊、植物性、海洋性のプラセンタから作られたサプリやドリンクは対象外。
服用しても献血をすることはできます。
また、プラセンタ注射をした人は、献血はできませんが、自分自身が手術をした場合の輸血や点滴は受けることができます。
まとめ
限りなくゼロに近いものだとわかっていても、まったくゼロではないためリスクを容認するわけにはいかない。と言っているのですね。
プラセンタ注射をはじめて受ける方はクリニックによってはまず誓約書にサインするところから始まり、不安に感じることでしょう。
私自身は血液の比重が軽いため献血を何度も断られていました。
どのみち献血することができないのならプラセンタ注射を打っても何の問題もないと誓約書にサインしました。
よくよく考えると、
もし仮に自分の子どもが事故に遭って輸血が必要となったとき母親として輸血をしてあげることができないというリスクが伴います。
プラセンタ注射を打つ前に、一度じっくり検討してみてください。
ただ私自身、プラセンタ注射を続けていることで更年期障害など体の変調はきたしておらず、風邪も十数年以上ひいていません。
その恩恵と、輸血する立場になる可能性を秤にかけたときに自分なりにこの選択に納得しています。
献血ができなくなることを懸念している方は、サプリで補給してみてはいかがでしょうか?
サプリであれば献血ができなくなる心配はいりません。
ただし、薬ではないので即効性はありません。気長に続けていくことが大切です。