プラセンタが注目されてから、はや40年以上経ちます。
医療現場からはじまったプラセンタは、その意外な効能が注目を集め、美容業界にも浸透していき、今では「プラセンタ」を知らない人がいないくらい、化粧品やサプリメントなどさまざまなものに使用されています。
しかし、具体的にどんなものなのか…と言えばなんとなく肌にいいくらいの知識の方も多いのでは?
そこで、実はもっと奥深くあらゆる場面で効果を発揮してくれるプラセンタについて語っていきたいと思います。
プラセンタの神秘的な魅力

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プラセンタとは
そもそもプラセンタとは?
プラセンタとは胎盤のことです。英語で胎盤のことをPlacenta(プラセンタ)といいます。
私たちが医療用や美容目的として使用するプラセンタは、胎盤そのものではなく、胎盤から抽出された「プラセンタエキス」のことをいいます。
では、なぜ胎盤が注目され肌などにどういいのでしょうか?紐解いてみましょう。
女性が妊娠すると、子宮内に受精卵から赤ちゃんと一緒に血管の固まりが作られます。これがいわゆる胎盤です。その中には栄養素が豊富に含まれております。
お腹の中の赤ちゃんは、臍帯(へその緒)を通じて胎盤と繋がっており、酸素や栄養を受け取り、老廃物を母体側に渡しています。
例えば、お母さんがつわりなどで食欲がなく栄養不足になった場合でも赤ちゃんが無事産まれるのは、胎盤に蓄えられた豊富な栄養が赤ちゃんに送られ続けていたからです。
胎盤はまさしく生命を育む栄養の固まりといっても過言ではありません。
そして出産が近づくと胎盤の機能はおとろえ、赤ちゃんが産まれると同時に体外に排出されその役目を果たします。
胎盤は生命が育まれるために必要で、かつ神秘的な器官と言えますね。
報告された意外な副作用
プラセンタは、もともとは厚生労働省の正式な認可を受け、肝臓疾患の改善のために医療現場で用いられいました。
ある肝臓疾患の女性に、プラセンタを投与し続けたところ意外な副作用がありました。
その意外な副作用とは…
女性には小さいころに負った火傷の跡があり、プラセンタを続けていくうちに劇的に GOT、GPT、γ-GTP が下がったうえに、火傷の跡がちいさくなっていることに気づきました。
そればかりか、女性の肌がみるみるきれいになっていったのです。医療現場でもその効果に目を見張りました。
当初、なぜこのようになったのかわかりませんでしたが、研究を重ねていくうちに肝細胞増殖機能を促進することが判明しました。
肝臓が活性化されると不要な毒素が分解され、新陳代謝が活発になります。
そして新しい細胞の生成が促され、その結果肌のターンオーバーが整えられみずみずしい肌になっていくということです。
医療については重篤な副作用な皆無といっていいほどないばかりか、このような嬉しい副作用が報告されたプラセンタ。
それに美容業界や健康食品業界が目をつけ、ごぞってプラセンタ配合の美容液やサプリメントを手がけるようになった背景があります。
プラセンタの効果
プラセンタにはさまざまな効果があり、注目を集めています。
- ターンオーバー促進
- 美白効果
- 抗酸化作用
- 免疫力向上
- 更年期障害の治療として
ターンオーバー促進
プラセンタには新陳代謝を促進する効果があります。
肌は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっており、さらに表皮は下から順に「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角質層」の4つの層からなっています。
基底層で生まれた細胞は形を変えながら28日~58日かけて上の層に押し上げられていきます。
角質層まで押し上げられた細胞は、潤いを保持し外部からの刺激に対してバリアを張ってくれます。そして一定期間経過したのちその細胞は核のない死んだ状態になり、角化細胞となります。これが角質と言われるもので、古くなった角質は次の新しい細胞から押し出されていきます。
つまり俗にいう垢(アカ)がこの古くなった角質というわけですね。これを「ターンオーバー」といい、その周期は年齢によって違ってきます。
20代の健康な肌であればだいたい28日周期となりますが、加齢とともに新陳代謝が落ちた30代~40代ではなんと45日程度かかってしまいます。ターンオーバーが正常でないと、古い角質がいつまでも剥がれずに表面に溜まった状態になり、くすんだ肌に。
またメラニン色素も沈着しやすくなり、シミや黒ずみになってしまいます。
そこでプラセンタを取り入れることによって、プラセンタの成長因子の優れた細胞活性化によって肌のターンオーバーを正常化させます。
ターンオーバーが整うことによって古い細胞やメラニンを含んだ細胞が角質となって剥がれ落ち、きれいな肌に生まれ変わるというわけです。
美白効果
肌の白い、黒いは皮膚の内部にあるメラニン色素の量が関係しています。メラニン色素の量が多いと肌が黒くみえてしまいます。
プラセンタは新陳代謝を活発にし、肌のターンオーバーを整えてくれるので、メラニン色素を含んだ古い角質を剥がしてくれます。肌内部のメラニン色素を減らすことによって美白効果が得られるのです。
またメラニン色素の生成にかかわる「チロシナーゼ」という酵素の働きを抑制するので、新たにメラニン色素が生成されるのを防ぐことができます。
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抗酸化作用
酸化とは、対象物質が酸素と化合することを言います。
例えば、鉄が錆びるのは鉄が酸化したからです。リンゴを切ったままにしておくと、空気中の酸素と化合してだんだん茶色に変色してしまうそれです。同様に人間の体も酸化します。
体が酸化すると、活性酸素を除去しようとするメラニンが増えシミを作ったり、肌荒れ、くすみ、シワ、たるみの原因となります。
また老化を早めるだけでなく、糖尿病、高脂血症、肝臓の機能の低下などの生活習慣病といった病気のリスクも伴います。
もともと私たちの体の中には活性酸素を抑える「抗酸化酵素(SOD)」という成分が備わっていますが、加齢によりその数も減っていきます。
プラセンタには高い抗酸化作用があることが研究などでわかっています。
同じように抗酸化作用のあるものとして、イソフラボンやコエンザイムQ10、セサミンなどがあります。
しかしプラセンタにはそれらには含まれないグロースファクター(成長因子)という体内で作られるたんぱく質の一種が含まれています。
グロースファクターは、線維芽細胞や角化細胞を活性化させる作用があり、コラーゲンの生成をするので、肌のハリがよくなり、弾力や保湿を高めてくれます。
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免疫力向上
もともと人間の体には、さまざまな細菌やウィルスの侵入を撃退してくれる免疫力が備わっています。しかし慢性的なストレスや食生活の乱れ、睡眠不足、加齢や環境汚染によって、免疫力が低下すると風邪を引きやすくなったり、病気にかかりやすくなります。
プラセンタには免疫力を高める効果もあります。
細菌やウィルスに対抗する免疫細胞のひとつに、細菌やウィルスを食べてくれるマイクロファージという細胞があります。
プラセンタはこのマイクロファージを活性化してくれる働きがあります。
更年期障害の治療薬として
更年期は、閉経前の5年から閉経後の5年にわたる時期で、妊娠できる年齢から妊娠できない年齢へと移行される時期のことを言います。
女性は思春期になると、卵巣からエストロゲンという女性ホルモンが分泌されはじめ月経(初潮)が始まり、性成熟期には安定し妊娠、出産に適した体になります。
しかし40歳を過ぎたあたりから卵巣の機能が少しずつ衰えはじめ、エストロゲンの分泌が急激に低下します。そして50歳前後で閉経を迎える時期には、ホルモンバランスの乱れによって女性の心と体にさまざまな症状を引き起こしてしまいます。
これがいわゆる「更年期障害」です。
典型的な症状として、自律神経失調症や精神的な不調、ホットフラッシュなどの頭痛やめまい、のぼせなどの症状が出たり、不眠や肩こり、冷え性などの症状に悩まされることになります。(この症状は誰もがなるわけではなく、まったく症状が出ない人もいます。)
プラセンタ(メルスモン)の原料となっているヒト胎盤エキスは、体内で変化してホルモン前駆体という状態まで分解され即効でエネルギー補充ができるため、更年期障害の治療薬として用いられています。
プラセンタは自律神経に働きかけ本来女性に備わる生理的機能を復調、正常化してくれることで注目を集めています。
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プラセンタの歴史
プラセンタの歴史は古く、ヒポクラテス(紀元前400年頃)の時代までさかのぼります。あのかの有名なエジプトの女王クレオパトラやフランスのマリーアントワネットも若さと美しさを保つために愛用していたとか?
中国では、秦の始皇帝以来、不老長寿の妙薬として、紫河車(シカシャ)と呼ばれ珍重されてきました。
近代では、マリリン・モンローや、オードリー・ヘップバーン、チャーリー・チャップリンなどの著名人もプラセンタの愛用者でした。日本では江戸時代にプラセンタを主成分として配合した混元丹(こんげんたん)が日本の三大秘薬として確認できています。
さらに1930年ころに旧ソ連で組織療法にプラセンタを使用し、この組織療法が日本に伝わり、1950年に組織療法を研究していた医師らによって「組織療法研究所」が設立。「メルスモン製薬株式会社」の先駆けとなりました。
その後、1980年代ごろからプラセンタ配合の化粧品が注目され、サプリメントが販売され始めました。
プラセンタの種類
ヒトプラセンタ
ヒト・プラセンタはヒト由来の胎盤のことです。ヒトプラセンタは、ヒトの胎盤から独自の方法で抽出されたエキスの医薬品で、医療現場でしか使えません。
ヒトから抽出された成分であるため、吸収率がよく、高い効果が期待でき、更年期障害や肝臓疾患などの治療目的で使用します。
治療目的の場合、保険適用となり、美肌や疲労回復などの利用の場合、保険適用外となります。
しかし一度でもヒトプラセンタの注射や点滴をした人は、献血することができません。これは変形クロイツフェルトヤコブ病への罹患のリスクがゼロとは言えないためです。
だだし現在のところプラセンタ注射によって変形クロイツフェルトヤコブ病に感染した人は確認されていません。
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馬プラセンタ
ヒト由来のプラセンタは美容目的に利用することはできません。美容目的で市場に出回っているプラセンタはヒト由来以外のプラセンタです。その中でも、希少価値があると言われるのは、馬由来プラセンタです。
別名、サラブレットプラセンタとも言い、プラセンタに利用される馬のほとんどが血統つきであり、徹底した品質管理のもと栄養管理も申し分ない環境で育てられています。そして馬由来のプラセンタには、豚に比べてアミノ酸が豊富に含まれています。
また、豚は一生に何度も出産し一度に複数の子どもを産みますが、馬は年に一度1頭のみしか生みません。つまり絶対数が少ないため希少価値があるわけです。
>>>馬プラセンタは国産がいい?外国産の安全性は?産地別プラセンタサプリ
豚プラセンタ
現在発売されているプラセンタ美容液の中でもっとも多いのが、豚由来プラセンタです。馬に比べて出産回数や一度に産む頭数も多いため、大量に胎盤を摂取することから、安定した供給が得られます。
ただ安全性を心配する声も聞かれますが、しっかりと管理された品質としての「SPF豚」を選ぶといいでしょう。
「SPF豚」は、日本SPF豚協会によって厳格に定められた基準で、抗生物質を与えずに飼育されます。厳しく管理された環境下で飼育された豚から採取するプラセンタは、高品質で安全性が高いと言えます。
>>>豚プラセンタの安全性はいかに?選びかたのポイントはコレ!
羊プラセンタ
ヨーロッパや北米で人気の高いプラセンタです。
羊は病気にかかりにくい動物なので安全性は高いのですが、日本では流通量が極端に少ないのであまりお目にかかることができません。
実は動物のプラセンタ製品の原料は、ヒト、馬、豚、羊のほかに牛があります。あまり聞きなれないのは、日本では狂牛病(牛海綿状脳症)の発生があり利用禁止になっているからです。
日本で流通しているのは馬、豚が主流ですが、ニュージーランドなどの欧州では羊プラセンタが主流です。羊プラセンタは人にもっとも親和性があり馴染みやすい性質があります。
>>>羊プラセンタは本当に危険?日本で流通されていない理由を検証
植物プラセンタ
厳密に言うと、植物には胎盤はありません。そのかわり似たような機能を持つ「胎座」を持っています。胎座は果実の中で種がかくれている部分になり、アミノ酸やビタミン、ミネラルなど種を発芽させるための栄養素が豊富です。
しかし動物由来のプラセンタが持っている成長因子成分は含まないため、プラセンタ同様の効果は期待できません。
海洋性プラセンタ
魚の卵を包んでいる「卵巣膜」の部分を海洋性プラセンタと呼んでいます。こちらも植物同様に、胎盤を持っていないので、成長因子は含まれておらず、正確にはプラセンタと言いません。
しかしプラセンタとは別ものですが、海洋性には9種類もの必須アミノ酸が含まれているので美肌効果は期待することができます。
まとめ
プラセンタは人間を育む大元であり、神秘的な臓器です。
人間以外の哺乳動物は、子どもを産んだあと母親がそのプラセンタを食べるとも言われ、一説には血の臭いを消して外敵から身を守るためという以外に、栄養を蓄えるためとも言われています。
それほど貴重な栄養源のプラセンタ。いつまでも若々しく肌のハリやツヤ、髪のツヤを保つために、またスッキリした1日を切るために、生活の一部に取り入れてほしい成分です。
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